2016年10月

先日、友人に誘われて、初めてミュージカルを見に行ってまいりました。
それまで興味を持つことも無かったので、「そんなに大したことはないだろう」と
甘く考えておりましたが、実際は、生の迫力に圧倒され
次第に舞台に釘付けになっていました。舞台の上は知らない役者さんばかりでしたが
ありがたい事に、前方の席で見られましたので、出演者の全力の言葉や表情、動きに
心を奪われてしまい、終わった時には、「来て良かったなぁ」と感動しました。

実は私が見に行った時は、その演劇が千秋楽の日でしたので、終演後に
出演された方々が一列に舞台に出て、挨拶をされました。
その中で、主役の方が、「この舞台は、私たちだけでなく、アンサンブルの皆さん
裏方のスタッフさんたち、そして客席の皆様のおかげで、無事に千秋楽を迎えることが
できました」と話されました。

さて、「裏方やお客さんに感謝する」というのは、役者さんには失礼ですが
よく耳にすることではないでしょうか。
この日初めて、私は「アンサンブル」という言葉を知りました。後で調べたら、演劇用語で
「役名の無い登場人物たち」を表す言葉だそうです。
分かりやすくあえて失礼な言い方をするならば、「その他大勢」
または、「エキストラのような存在」でしょうか。個人での台詞は、一切ありませんでした。
途中の休憩時間に、友人にパンフレットを見せてもらい、どのような役だったのか
思い出していました。
「言われてみれば、こんな人たちもいたかなぁ」というのがその時の正直な印象でした。

しかし、台詞も無い脇役とは言え、彼らがいなければ舞台は成り立たなくなります。
更に、場面によって衣装も変わるので
舞台裏での着替えや移動の大変さが、想像できます。
劇中を思い出せば、主役だけでなく、出演者全員が見事に綺麗に揃ったダンスも
アンサンブルの動きあっての事でした。
観客の視線のほとんどは、舞台中央に集まることでしょう。
もしかしたら端っこで踊っていても誰も見ていないのかもしれない。
それでも全力でやり切るからこそ、一体感と、終演後の感動が生まれたのだと思います。
そして最後の挨拶で、たとえ台詞が無くとも、アンサンブルの方々も
すがすがしい表情をされていたのが、記憶に残っています。

仏教の言葉に、「同入和合海」というものがあります。
「皆で同じく和合の海に入る」…どの川も、最後には同じ海に流れて一つになるように
「和合」とは、そこにあるものが合わさり、一つになる、まとまる様子を表しています。
主役、脇役、裏方、観客…どのような役回りだろうと、それに関わるすべての人々の
努力や協調性、活躍によって、ミュージカルの舞台という一つの海が
作られているのだと言えるでしょう。

さて、このお話は、舞台に限った事ではありません。誰しもが、家族、地域、お寺
学校、会社、遊び仲間等、何かしらの組織、グループに所属している事でしょう。
その中で、全員が、それぞれの役割を担っています。どのような役回りでも
一つ欠けると成り立たなくなってしまいます。
これこそ、日本人が大切にしている、「和」というものではないでしょうか。

「縁の下の力持ち」という言葉があるように、目に見えないところで
大きな存在となっている方々への、感謝の気持ちを忘れないようにしたいですね。

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